生徒が自主練してくれない時の講師の工夫|宿題が続く出し方と伝え方

結論:生徒が自主練してこない原因の多くは、やる気の問題ではなく、宿題の出し方と伝え方にあります。最初に「レッスン外の練習なしでは上達しない」と伝え、その宿題が生徒の歌のどこに効くのかを示し、短く具体的な形で渡す。それでも練習しない生徒の結果まで、講師が一人で背負う必要はありません。
この記事でわかること
生徒が自主練してこない本当の理由
最初のレッスンで伝えておくべきこと
続く宿題の3つの条件
練習してこない生徒との向き合い方と、講師の責任の線引き
ウタ子「生徒が練習してこないなら、それは生徒が悪いんじゃないの?😑」
MASAYAH「半分正解。でも残り半分は、だいたい宿題の出し方」
ウタ子「出し方って。『練習してきてね』でよくない?」
MASAYAH「それ、僕が生徒でもやらない😏」
ウタ子「先生がそれ言う?」
MASAYAH「言うよ。何を、どこまで、何のためにやるかが見えない宿題は、人間やらないの」
ウタ子「…それはちょっとわかるかも。私も漠然とした課題、絶対後回しにする」
MASAYAH「でしょ。だから講師の仕事は、やりたくなる形に変えて渡すこと🎓」
生徒が自主練してこない本当の理由
結論:生徒が練習しない理由は、主に「練習しないと伸びないと知らない」「その練習が自分の歌にどう効くかわからない」「何をどれだけやればいいかわからない」の3つです。どれも、講師の伝え方で変えられます。
教え始めた頃は、レッスンの中で生徒を上手くすることに全力を注ぎがちです。それ自体は大事なことです。でも、週に一度や月に数回のレッスンだけで声が変わるかというと、そうはいきません。声は、レッスンとレッスンの間に変わっていくものです。
ところが生徒の側は、そのことを知らないことが多い。「レッスンに通えば上手くなる」と思って来ています。だから、練習しないのは怠けているのではなく、練習が必要だと伝わっていないだけ、という場合がかなりあります。
最初のレッスンで伝えておくべきこと
結論:最初のレッスンで、「レッスン外の自主練なしでは上達しない」ことをはっきり伝えておきます。後から言うと言い訳や説教に聞こえますが、最初に言えば約束になります。
講師育成の場でも、これは必ず伝えている部分です。最初に言っておかないと、伸び悩んだときに生徒は「先生の教え方が合わないのかも」と考え、講師は「この生徒は練習してこない」と考える。お互いの見えているものがズレたまま、関係がこじれていきます。
伝え方は、重くしなくて大丈夫です。「レッスンは、家での練習のやり方を持って帰る場所です。声が変わるのは、家で練習した時間のほうです」。これくらいの一言で十分です。
そして、一度言ったら終わりではありません。生徒の成長に必要なのは、気づきと気持ちの支えです。同じことでも、毎回違う角度から伝え続ける。それが講師の仕事の大きな部分です。
レッスンの組み立て全体の考え方は、こちらで詳しく扱っています。
続く宿題の3つの条件
結論:続く宿題には、①その練習が生徒の歌のどこに効くかが見えている、②短くて具体的、③レッスンで体感済み、という3つの条件があります。
条件1|その練習が、生徒の歌のどこに効くかが見えている
受験生が「志望校の過去問に出ている」と言われると急にやる気になるのと同じで、「この練習は、あなたがいつも苦しくなるサビのあの一行に効きます」と言えると、練習の意味が変わる
発声練習を、生徒の好きな曲や悩みと結びつけて渡す
条件2|短くて具体的
「毎日ボイトレしてね」ではなく、「この呼吸の練習を、歌う前に一回」のように、何をどれだけやるかまで決めて渡す
宿題は一つか二つに絞る。多いほど、全部やらない理由が増える
条件3|レッスンで体感済み
レッスンの中で「確かに楽に出た」という体感を一度でも味わった練習は、家でもやってみようと思える
説明だけで渡した練習は、家で再現できずに止まりやすい
さらに一つ付け加えるなら、声は毎日変わります。体調や睡眠で、昨日と同じ練習が今日は合わないこともある。「調子が悪い日は、この軽い方だけでいい」と逃げ道を一緒に渡しておくと、ゼロの日が減ります。
ウタ子「体感済みの練習なら、確かに家でもやる気になるかも😮」
MASAYAH「でしょ。レッスンで一回『あ、出た』ってなった練習は、家でもやりたくなる」
ウタ子「でもさ、それでもやってこない人はいるでしょ」
MASAYAH「いる。そこで講師が全部背負うと、講師が先に潰れる」
ウタ子「冷たっ」
MASAYAH「冷たくないよ。信じて待つってこと。僕はちゃんと待てる大人だから😏」
練習してこない生徒との向き合い方と、講師の責任の線引き
結論:伝えるべきことを伝え、続く形で宿題を渡したうえで、それでも練習しない生徒の結果まで、講師が全部の責任を負う必要はありません。責めずに、しかし抱え込みすぎず、次の一手を一緒に探します。
生徒が上手くならないとき、教え始めの講師ほど「自分の教え方が悪いのでは」と考えがちです。もちろん振り返りは大切です。でも、上達しない原因が、生徒自身の練習量や向き合い方にあることも少なくありません。そこまで全部を自分のせいにしていると、講師の側がもちません。
大切なのは、練習してこなかったことを責めないことです。責められた生徒は、次のレッスンに来にくくなります。代わりに、「この一週間、どこで止まった?」と聞いて、宿題の形を調整します。量が多かったのか、意味が見えていなかったのか、家で声を出せる環境がなかったのか。原因がわかれば、出し方を変えられます。
生徒が辞めずに通い続けられる仕組みについては、こちらも参考にしてください。
🤔 よくある誤解Q&A
Q. 自主練してこないのは、生徒のやる気がないから?
A. いいえ。練習が必要だと伝わっていない、練習の意味が見えていない、何をどれだけやればいいかわからない、という理由のほうが多いです。どれも宿題の出し方と伝え方で変えられます。
Q. 宿題はたくさん出したほうが上達が早い?
A. いいえ。宿題が多いほど、全部やらない理由が増えます。一つか二つに絞り、短く具体的に渡すほうが続きます。
Q. 生徒が上手くならないのは、すべて講師の責任?
A. いいえ。振り返りは大切ですが、生徒の練習量や向き合い方も結果に大きく関わります。講師が一人で全部を背負う必要はありません。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. ボイトレの生徒が自主練してこないのはなぜですか?
A. 主な理由は、レッスン外の練習が必要だと知らないこと、その練習が自分の歌にどう効くかわからないこと、何をどれだけやればいいかわからないことの3つです。講師の伝え方と宿題の出し方で改善できます。
Q2. 自主練を続けてもらうには、最初に何を伝えればいいですか?
A. 最初のレッスンで、「声が変わるのはレッスンの時間ではなく、家で練習した時間のほうです」と伝えておきます。最初に伝えれば約束になり、後から言うよりも説教に聞こえにくくなります。
Q3. 続く宿題の出し方のコツは何ですか?
A. その練習が生徒の歌のどこに効くかを示すこと、何をどれだけやるかまで短く具体的に決めること、レッスンで一度体感させた練習を渡すことの3つです。
Q4. 練習してこない生徒にはどう接すればいいですか?
A. 責めずに、どこで止まったのかを聞いて宿題の形を調整します。そのうえで、生徒の結果のすべてを講師が背負う必要はないと線を引くことも、長く教え続けるためには大切です。
✏️ まとめ:宿題は「出す」ものではなく「渡す」もの
生徒が自主練してこないとき、まず見直すのは生徒のやる気ではなく、宿題の渡し方です。最初に練習の大切さを約束し、生徒の歌に効く理由を見せ、体感済みの練習を短く具体的に渡す。それでも止まったら、責めずに一緒に原因を探す。講師が全部を背負わなくていいからこそ、生徒を信じて待つことができます。
ウタ子「宿題を渡すって考え方、なんかいいね。押しつけじゃない感じ😳」
MASAYAH「そう。やりたくなる形で渡せたら、講師の勝ち」
ウタ子「…今日のは、わりと真面目に響いた」
MASAYAH「君が教える側に立ったら、きっといい宿題出すよ。期待してる🔥」
教える力を体系的に身につけたい方へ。資格や学び方も含めて、あなたに合った最短ルートを一緒に考えられます。
今日もどこかで、あなたの歌がちょっと良くなりますように。

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著者:MASAYAH
明治大学経営学部国際経営学科卒。ニューヨークとロサンゼルスでボイストレーニングを受けながら、日米のメジャーアーティストの制作に関わる。新宿にラニーボーカルスクール東京を創設しこれまで約3,000人をボイトレ指導。テレビやYouTubeなどメディアにも多数出演。


