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歌が上手くなりたいなら「教え方」を学べ|遠回りに見えて最短な理由

7月16日
読了時間: 8分

更新日:10月2日

ボイストレーナーが生徒の胸に手を添えながら呼吸法を指導している様子

結論:歌が上手くなりたいなら、一人で黙々と練習するより「人に教えるつもり」で自分の声に向き合うほうが近道です。教えようとした瞬間に、「なんとなく良かった」が使えなくなるからです。


この記事でわかること

  • 練習しているのに頭打ちになる本当の理由

  • 「教えるつもり」が効く仕組み

  • 言葉にすると感覚が痩せる、という落とし穴

  • 教える側に回った人の歌が変わっていく理由

  • 今日やる一歩




ウタ子「毎日練習してるのに、全然変わってる気がしないんですけど。才能ですか😒」




MASAYAH「才能ではないです。言葉が足りてないだけですね」




ウタ子「言葉?歌の話してるんですけど」




MASAYAH「してますよ。歌の話です」




ウタ子「はーい、そうですかー。で、結局どうすればいいんですか」




MASAYAH「誰かに教えるつもりで歌ってみてください。それだけで変わります」





練習しているのに頭打ちになる本当の理由


結論:一人の練習は「なんとなく良い・悪い」で終わりやすく、次に何を直すかが言葉になっていないため、良い日と悪い日の差が偶然のままになります。


歌の練習は、たいてい録音して、聴いて、良かった気がする、もう一回歌う、の繰り返しになります。このループ自体は悪くありません。むしろ録音している時点で、やっていない人よりずっと前に進んでいます。


足りないのはその次です。なぜ良かったのか、何が変わったから良くなったのかを、自分の言葉で言えているかどうか。ここが空白のままだと、うまくいった感覚を次の日に持ち越せません。毎回ゼロから引き直すことになるので、どれだけ回数を重ねても積み上がらないんです。


逆に「今のは息の支えが浅かったから、高音で声が細くなった」と言えた瞬間、次の練習は狙って直しにいけます。頭打ちの正体は、才能でも練習量でもなく、この一行があるかどうかです。


「教えるつもり」が効く仕組み


結論:人に教えようとすると、「なんとなく」では相手に渡せないため、否応なく自分の感覚を言葉に変えることになります。


ここで多くの人がつまずくのですが、つまずき方には理由があります。知識は入っているのに説明になると出てこない、という状態になる人は、頭の中に複数の言葉が同時に浮かんでいて、どれから組み立てればいいか分からなくなっているんです。これは覚えが悪いのではなく、整理の順番の問題です。


だから相手がいると強いんですよ。相手の顔があると、全部を一度に言うことができません。いちばん先に渡すべき一言を選ばざるを得なくなる。この「選ばされる」という強制力が、一人の練習には絶対に生まれないものです。




ウタ子「でも私、教えられるほど上手くないんですけど」




MASAYAH「ちょうどいいですね。上手い人ほど説明できませんから」




ウタ子「それ、慰めてます?」




MASAYAH「いえ、事実です。できる人は無意識でやってるので、言葉を持ってないんですよ」




ウタ子「…じゃあ下手なうちに言葉にしたほうが得ってことですか」




MASAYAH「そういうことです。今がいちばん美味しい時期ですよ」




言葉にすると感覚が痩せる、という落とし穴


結論:感覚は言葉にした瞬間、その言葉の幅まで縮みます。それでも言葉にする価値があるのは、縮んだぶんだけ受け渡しができるようになるからです。


ここは少し踏み込んだ話をします。僕は普段から、感覚というのは言語化した瞬間にその定義の中へ閉じ込められる、と思っています。「お腹から声を出す」と言った瞬間、お腹以外のことは視界から消えます。本当はもっと曖昧で、もっと全身的なものだったはずなのに、です。


だから言葉にするのが正解だと言い切るつもりはありません。言葉にすると、必ず何かが落ちます。それでも僕が言語化をすすめるのは、落としたうえで残ったものだけが、人に渡せるものだからです。そして人に渡せる形にすると、不思議なことに自分でも再現できるようになります。


ちなみに、歌そのものがAIに置き換わらない理由も、ここと地続きだと思っています。技術は上手くなっても、AIには経験がないので感覚を持てません。感覚を持たないものは、感覚を言葉にすることもできない。歌いたいという気持ちだけは、どうやっても外注できないんです。


教える側に回った人の歌が変わっていく理由


結論:教えるために発声を分解していくと、自分が無意識でやっていたことの正体が見えてきて、結果として自分の声のほうが先に変わります。


これは僕自身がいちばん身をもって体験したことです。教える仕事を始めた頃、実は僕は高い声がまともに出せませんでした。ミックスボイスが何なのかも、正直よく分かっていませんでした。今これを書いていて、よく看板を出したなと思います。


それでも生徒さんは「高い声が出ないんです」と相談してきます。分からないまま帰すわけにはいかないので、毎回のレッスンで頭を悩ませながら、あれこれ試しては確かめることを繰り返しました。すると、いつの間にか自分自身がスムーズに高い声を出せるようになっていたんです。順番が完全に逆でした。生徒さんのために考えた時間が、そのまま自分の練習になっていたわけです。


その先の仕組みの話、つまり「なぜ教えると自分の歌が変わるのか」を認知の側から整理した記事も用意しています。



今日やる一歩


結論:新しい練習メニューを増やす必要はありません。今日の録音を聴いたあとに、良かった理由をひとつだけ声に出して言う。これだけです。


頭の中で思うのではなく、声に出すのがポイントです。口に出した瞬間、自分の説明がどれだけ曖昧だったかが一発でばれます。ばれると直せます。


これをもう少し練習の形に落とし込みたい人、具体的な手順が欲しい人は、こちらの2本が続きになります。




🤔 よくある誤解Q&A


Q. 教えるには、まず自分が完璧に歌えるようにならないといけない?

A. いいえ。むしろ発展途上の人のほうが言語化に苦労するぶん、得られるものが大きくなります。


Q. 「教えるつもり」の練習は、相手がいないとできない?

A. できます。実際に誰かに教える必要はなく、声に出して説明するだけでも効果があります。


Q. 感覚を言葉にするのが苦手なタイプには向かない?

A. 逆です。苦手な人ほど伸びしろが大きい分野です。得意な人はすでにやっているので、ここでは差がつきません。


Q. これはボイストレーナーを目指す人だけの話?

A. 違います。教える仕事に興味がなくても、自分の歌を上手くしたいという目的だけで十分使えます。


❓ よくある質問(FAQ)


Q1. なぜ人に教えると自分の歌が上手くなるのですか?

A. 教えるには感覚を言葉に変える必要があり、その過程で自分が無意識にやっていたことの正体が見えるようになるからです。


Q2. 「教えるつもり」で練習するとは、具体的に何をすればいいですか?

A. 録音を聴いたあと、良かった理由をひとつだけ声に出して説明してから練習を終える、という形で始められます。


Q3. 初心者でもできる方法ですか?

A. できます。上手い下手にかかわらず、感覚を言葉にする練習はどの段階からでも始められます。


Q4. 感覚を言葉にすると、歌が理屈っぽくなりませんか?

A. 言葉にすると感覚の幅は一度縮みます。ただ、縮んだぶんだけ人に渡せて、自分でも再現できるようになります。


Q5. 一人で練習するより、誰かに聴いてもらったほうがいいですか?

A. 必須ではありませんが、相手がいると「いちばん先に渡す一言」を選ばされるので、言語化の精度は上がりやすくなります。


✏️ まとめ:遠回りに見えて、実は一番の近道


練習しても変わらないと感じているなら、増やすべきは練習量ではなく言葉です。今日の録音について、良かった理由をひとつだけ声に出してみてください。それが「教え方を学ぶ」の最初の一歩で、遠回りに見えていちばん早い道です。


高い声も出せないまま教え始めた人間が言うので、間違いありません。




MASAYAH「ちなみにこれ、ウタ子さんにもそのまま効きますからね」




ウタ子「教えるのって、人のためにやるものだと思ってました」




MASAYAH「もちろん人のためですよ。ただ、いちばん得をするのは教えた側です」




ウタ子「えー、ずるくないですか?」




MASAYAH「ずるいですよ。だから早めに始めたほうがいいんです🔥」




ウタ子「…今日はちょっと説得されました😳」




一人で言葉にするのが難しければ、プロの耳を借りて一緒に整理することもできます。教える技術そのものを体系立てて学びたい方には、ラニーシンガーズアカデミーという道もあります。



今日もどこかで、あなたの歌がちょっと良くなりますように。

歌で世界を一つに MASAYAH(手書き署名)

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著者:MASAYAH


明治大学経営学部国際経営学科卒。ニューヨークとロサンゼルスでボイストレーニングを受けながら、日米のメジャーアーティストの制作に関わる。新宿にラニーボーカルスクール東京を創設しこれまで約3,000人をボイトレ指導。テレビやYouTubeなどメディアにも多数出演。

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