歌うとすぐ喉が痛くなる原因|壊す前に見直す発声チェックリスト
更新日:9月16日

結論:歌ってすぐ喉が痛くなるのは、喉が弱い体質だからではありません。音量を、喉のあたりで作ってしまっているサインです。出す場所を変えれば、同じ曲を同じ回数歌っても痛みは出にくくなります。
ただし先に大事なことを。痛みが数日以上続く、だんだんひどくなる、声がかすれたまま戻らない。このどれかに当てはまるときは、発声の話より先に耳鼻咽喉科を受診してください。 練習で解決しようとしないでほしいです。
この記事でわかること
「喉が弱い体質」がほとんど存在しない理由
喉が痛くなる本当の原因は、音量をどこで作っているか
カラオケで喉を痛める人がやっている3つのこと
壊す前に見直す発声チェックリスト
痛みが出たとき・続くときの線引き
ウタ子「私、たぶん喉が弱い体質なんですよ」
MASAYAH「その台詞、僕もずっと言ってました」
ウタ子「えっ」
MASAYAH「2曲目で枯れてたので、完全に体質だと思ってました」
私も昔は「自分は喉が弱い体質」だと思っていました
結論:喉の痛みは体質の問題として片付けられがちですが、多くの場合は出し方の問題です。
高校から大学にかけて、僕はカラオケがそこそこ好きでした。ただ、まともに歌えるのは最初の2〜3曲だけ。高い声を出すと、そこからはもう声が枯れていく一方です。友達がまだ普通に歌っているのに、自分だけ先に終わる。
当時の僕の結論は「自分は喉が弱い体質だ」でした。疑いもしませんでした。生まれつきそういう作りなんだと思っていたし、だから歌える曲数も決まっているんだと受け入れていました。
その思い込みが外れたのは、ずっとあとになってからです。枯れていた原因は体質ではなくて、大きい声を出そうとするたびに、音量を喉で作っていたことでした。出す場所が変わった途端、歌える曲数が変わりました。
同じことを、これまで15年・約3,000人を見てきた中で何度も見ています。「昔から喉が弱くて」とおっしゃる方の大半は、喉が弱いのではなく、声を強くする方法を1つしか持っていないだけなんですよね。
喉が痛くなる本当の原因は、音量を喉で作っていること
結論:声を遠くまで届かせる方法は2つあり、喉を痛めるのは「押し出す」ほうを選んだときです。
無人島にいると想像してください。遠くの船に気づいてほしい。どうしますか。
たいていの人は叫びます。喉に力を入れて、思い切り前に押し出す。気持ちは分かります。でも実際には、叫んだ声はあまり遠くまで届きません。しかも数回で喉が終わります。
遠くまで届くのは、後ろに引いて共鳴させた声のほうです。 体の奥のほうで音を響かせて、その響きごと飛ばす。こちらは何度やっても喉が痛くなりません。同じ「大きい声」でも、作り方がまったく違うんです。
カラオケで痛くなる人は、ほぼ全員が前者をやっています。サビが来る、音量が欲しくなる、喉に力を入れて押す。声帯の周りの筋肉で音量を稼ごうとするので、当然そこが疲れます。疲れた状態でさらに押すから、炎症になる。
ウタ子「押すのがダメって、じゃあ小さく歌えってことですか」
MASAYAH「いえ、響かせて大きくするんです。ここが全然違うところで」
ウタ子「響かせる、が一番ふわっとしてるんですよね」
MASAYAH「ですよね。そこは下のチェックリストで具体的にします」
カラオケで喉を痛める人がやっている3つのこと
結論:痛める原因の多くは発声そのものより、カラオケという環境の作り方にあります。
①最初からマイクも音楽も大音量で始めている
これがいちばん多いです。音楽が大きいと、自分の声が聞こえないので声を張ります。張った声が聞こえないのでさらに張ります。歌い方ではなく、設定が力ませているケースです。
②スピーカーから返ってくる自分の声を、自分の声だと思っている
カラオケのスピーカーから出ている音は、部屋にいる人に聞かせるための音です。歌っている本人がそれを基準にすると、自分が実際にどれだけ力を入れているのか分からなくなります。プロは常に自分の音量バランスを気にしていて、大きな会場ほど小さく歌うのが原則です。返ってくる音が大きいほど、自分は抑えていい。
③お酒が入っている
飲み会が進むにつれて、その場の全員の声量の基準が上がっていきます。誰も大声を出しているつもりがないのに、全員が大声になっている。しかもお酒で喉は乾いていて、炎症が起きやすい状態です。そこにさらに負荷をかけるので、いつもより早く枯れます。二次会のカラオケでだけ喉が死ぬ人は、発声ではなくこれです。
壊す前に見直す発声チェックリスト
結論:以下に心当たりがあるほど、喉に負担が集中しています。
サビの入りで、あごや首の前側に力が入る:音量を出す場所が喉になっている合図です
息を止めるように力んでから声を出している:いわゆる「ガナリ」に近い状態です。声帯を極端に閉じたまま息をぶつけるので、いちばん傷めやすい出し方になります。表現として使うこともありますが、練習の基本にはしないでください
「た」「だ」など、子音が強い言葉で特に痛くなる:たとえば「ダーン」のような言葉は子音のDが前に出やすく、母音の「あ」まで前に引っ張られます。母音が後ろで鳴っている状態を先に作ってから、子音を軽く乗せるという順番にすると、同じ歌詞でも負担が変わります
高い音が来るたびに、声が大きくなる:高さと音量を一緒に上げてしまう癖です。高音は押す量ではなく、響かせる場所で作ります
歌い終わりに、喉の奥が乾いた感じで残る:痛みの一歩手前のサインです。ここで止めれば、たいてい翌日に残りません
心当たりが2つ以上あるなら、曲数を減らすより先に、出し方を変えたほうが早いです。
ウタ子「あごに力、めちゃくちゃ入ってます」
MASAYAH「サビ前に自分の首を触ると一発で分かりますよ」
ウタ子「触ったことないです」
MASAYAH「今日やってみてください。だいたい驚きます」
今日からできる、痛めないカラオケの入り方
結論:曲を変えるのではなく、入り方の順番を変えてください。
ステップ1|マイクを持たず、音楽を小さめにして1曲歌う
自宅で鼻歌を歌うときと同じくらいの、優しい歌い方を確認します。ここでの感覚が基準です。力を入れないと出ない音があったら、その曲はまだキーが合っていないだけかもしれません。
ステップ2|同じ歌い方のまま、マイクを添える
握って口に押し当てるのではなく、添えるだけ。歌い方は絶対に変えないのがポイントです。マイクは音量を足す道具であって、歌い方を変える道具ではありません。
ステップ3|最後に全体の音量を上げる
ここで初めて音量を上げます。この順番で入ると、音量はスピーカーが作ってくれて、自分は最初の優しい歌い方のままでいられます。
それでも自分の声が分からなくなるときは、片方の耳を手で塞ぐか、片耳だけイヤホンをすると、自分の実際の声が聞こえます。これは本番前のプロもやっている確認方法です。
痛みが出たとき・続くときの線引き
結論:その日のうちに引く違和感と、日をまたぐ痛みは別物として扱ってください。
歌った直後に軽い疲れが残るくらいなら、水分を取って声を休めれば、たいてい翌日には戻ります。このときに大事なのは乾かさないことで、水分とマスクだけでもずいぶん違います。
一方で、痛みが数日以上続く/だんだんひどくなる/声がかすれたまま戻らない/血が混じる/飲み込むときに痛い。このいずれかがあるときは、発声の工夫で乗り切ろうとしないでください。耳鼻咽喉科で声帯を見てもらうのが最短です。 声を使う人ほど、早く診てもらったほうが結果的に早く戻ります。
そして誤解されやすいのですが、痛いからといって、完全に黙り続けるのが正解でもありません。声を使わない期間が長くなると、声帯は機能が落ちていきます。1週間まったく使わないだけでも落ちることがあります。急性期に休ませるのと、そのあとずっと避けるのは、まったく別の話です。回復してからは、軽い発声から普通に戻していってください。
🤔 よくある誤解Q&A
Q. 喉が痛くなるのは、発声の練習が足りないからでしょうか。
A. 違います。むしろ練習量を増やすほど悪化します。原因は量ではなく出し方なので、まず音量をどこで作っているかを見直してください。
Q. 喉が弱い体質は、生まれつきなので変えられないのでは。
A. 体質として説明されている症状の多くは、出し方の癖です。私自身も学生時代は2〜3曲で枯れていて、体質だと思い込んでいました。
Q. 痛くならないように、小さい声で歌えばいいということですか。
A. 小さくする必要はありません。音量を喉の力ではなく響きで作るという話です。響きで作れば、大きい声のほうがむしろ楽になります。
Q. のど飴やスプレーを使えば防げますか。
A. 乾燥をやわらげる助けにはなりますが、負担そのものは減りません。痛みの原因が出し方にある場合、対処だけを続けると悪化に気づくのが遅れます。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. 歌うとすぐ喉が痛くなる原因は何ですか?
A. 音量を喉のまわりの力で作っていることが最大の原因です。声を前に押し出す出し方は、声帯とその周辺の筋肉に負担が集中します。体の奥で響かせて音量を作る出し方に変えると、同じ音量でも負担が下がります。
Q2. 何曲くらいで痛くなるなら要注意ですか?
A. 曲数そのものより、痛みが日をまたぐかどうかで判断してください。当日の疲れが翌日に残らないなら回復の範囲です。翌日以降も痛みやかすれが残るなら、出し方を見直す段階です。
Q3. カラオケで喉を痛めないコツはありますか?
A. 入り方の順番を変えることです。マイクなし・音楽小さめで優しい歌い方を確認し、同じ歌い方のままマイクを添え、最後に全体の音量を上げます。最初から大音量で始めると、設定が力みを作ります。
Q4. お酒を飲みながら歌うのは、やはり良くないですか?
A. 負担は大きくなります。場の声量の基準が上がって全員が大声になりやすいことに加え、お酒で喉が乾いて炎症が起きやすい状態になるためです。水を挟むだけでも違います。
Q5. 喉が痛いときは、声を出さずに完全に休むべきですか?
A. 痛みが強い時期は休ませてください。ただし回復後まで声を使わない状態が続くと、声帯の機能自体が落ちていきます。1週間使わないだけでも落ちることがあるので、治ったら軽い発声から戻していくのが安全です。
Q6. 病院に行くべきかどうかの目安を教えてください。
A. 痛みが数日以上続く、悪化している、声がかすれたまま戻らない、飲み込むときに痛い、血が混じる。このいずれかがあれば耳鼻咽喉科を受診してください。練習の工夫で解決しようとしないことが大切です。
✏️ まとめ:痛みは「頑張る場所」を間違えているサイン
喉の痛みは、頑張っていない証拠ではありません。むしろ頑張っている証拠です。ただ、頑張る場所が喉になっているだけなんですよね。
僕は自分のことを長いあいだ「喉が弱い体質」だと思っていました。その思い込みがあるうちは、対策のしようがありません。体質だと思っている限り、できることは曲数を減らすことだけになってしまうので。
出す場所は変えられます。今日のカラオケでマイクを持つ順番を1つ変えるだけでも、帰り道の喉がまったく違うはずです。
そして繰り返しになりますが、痛みが続くときは発声の前に病院へ。声を守ることが、いちばん長く歌い続ける方法です。
ウタ子「体質じゃなかったって、ちょっと嬉しいですね」
MASAYAH「嬉しいですよ。変えられるってことなので」
自分の声の出し方のクセから知りたい方は、こちらもどうぞ。
一人で確かめていて「これで合っているのかな」と止まってしまったら、ラニーボーカルスクール東京の無料体験レッスンで一度プロの耳を借りてみてください。喉に力が入っている場所は、自分では本当に見つけにくいところです。
今日もどこかで、あなたの歌がちょっと良くなりますように。

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著者:MASAYAH
明治大学経営学部国際経営学科卒。ニューヨークとロサンゼルスでボイストレーニングを受けながら、日米のメジャーアーティストの制作に関わる。新宿にラニーボーカルスクール東京を創設しこれまで約3,000人をボイトレ指導。テレビやYouTubeなどメディアにも多数出演。


