ボイストレーナーに向いている人の特徴7つ|歌が特別上手くなくても大丈夫な理由
更新日:9月15日

結論:向いている人に共通しているのは、歌の上手さでも人当たりの良さでもありません。「自分が上手くしてやろう」と思っていないことです。指導の目的は生徒を上手くすることではなく、気づく機会と練習の場をつくることだからです。
この記事でわかること
「歌が上手い=向いている」が成立しない理由
ボイストレーナーに向いている人の特徴7つ
向いていない人に共通する、たった1つの傾向
今は当てはまらなくても始められる理由
ウタ子「教える側に興味はあるんですけど、私、そんなに歌上手くないです」
MASAYAH「大丈夫です。むしろ上手すぎる人のほうが最初は苦労します」
ウタ子「えっ、なんでですか」
MASAYAH「できない理由が分からないからです。自分は勝手にできちゃったので」
ウタ子「たしかに」
MASAYAH「あと、上手い人ほど自分で直しにいっちゃうんですよ。これがいちばん厄介です」
そもそも、指導の目的は「上手くすること」ではありません
結論:ここを取り違えていると、どんなに熱心でも空回りします。講師の仕事は、生徒が気づくチャンスと練習の場を用意することまでです。
歌を上手くするのは、最終的には本人です。私たちができるのは、その人が自分で気づける角度を差し出すこと。声を出してもらう場を作ること。そこまでです。
これは冷たい話に聞こえるかもしれませんが、逆です。「自分が上手くしてやる」と思っている人ほど、生徒を追い詰めます。 変化が出ないと焦り、説明が増え、レッスンが一方通行になっていく。そして生徒のほうも「先生の期待に応えなきゃ」と縮こまる。誰も得をしません。
だから向き不向きの話は、能力の話というより力の抜き方の話なんです。ここから挙げる7つも、全部そこにつながっています。
なお、実際の仕事内容そのもの(1日の流れややりがい)については、別記事にまとめてあります。
ボイストレーナーに向いている人の特徴7つ
結論:どれも生まれつきの才能ではありません。姿勢の問題なので、意識すれば今日から変えられます。
特徴1|自分が上手くしてやろう、と思っていない:用意するのは気づきと場であって、結果そのものではないと分かっている人。ここが土台です
特徴2|うまくならない責任を、全部は背負い込まない:練習してこない、聞く耳を持たない。そういう場面で自分を責めすぎない人。生徒が伸びない理由が生徒側にあることも、正直に言えば普通にあります。 全部を自分の力不足だと引き受けると、先に講師のほうが折れます
特徴3|相手のテンションに合わせられる:生徒が乗ってこない日は、こちらのテンションを上げるのではなく下げます。波長を相手側に寄せる。盛り上げようとするほど、相手は置いていかれるんですよね
特徴4|言葉にならない本音を拾える:生徒はほぼ全員「うまくなって気持ちよくステージで歌いたい」と思っています。ただ、恥ずかしくて言わないだけです。言っていないことのほうが本命だと分かっている人は強いです
特徴5|事実より、気持ちを聞ける:初回に「いつから歌っていますか」と経歴を聞くより、「好きなアーティストは」「逆に苦手なことは」と聞くほうが早く距離が縮まります。特に苦手なことの話で盛り上がると、一気に仲良くなれます。 不思議ですが、本当にそうです
特徴6|自分の好みでないジャンルにも「なぜ好きか」を聞ける:生徒が持ってくる曲を、自分の趣味で切り捨てない人。なぜこの人はこれが好きなんだろう、と考えられる度量があると、指導の幅も自分の音楽性も広がります。これは音楽の好みの話というより、人を理解する姿勢の話です
特徴7|同じことを、角度を変えて何度でも言える:一度伝えて終わりにしない人。成長に効くのは気づきとメンタルの支えで、どちらも一発では届きません。言い方を変えて何度も差し出せるかどうかが、続ける上でかなり効いてきます
7つ並べましたが、共通しているのは「相手が主役だと思えるかどうか」の一点です。歌唱力の話が1つも出てこなかったことに、気づいていただけたかと思います。
ウタ子「テンションを下げる、って発想はなかったです」
MASAYAH「盛り上げると、置いていかれた気持ちになる人がいるんですよ」
ウタ子「あー、わかります。カラオケでもいます」
MASAYAH「そう、あれです。あれを講師がやるとけっこう致命傷です」
歌が特別上手くなくても大丈夫な理由
結論:歌唱力と指導力は別の力です。それどころか、つまずいた経験があるほうが指導では有利になる場面が多くあります。
自分が苦労せずできてしまったことは、人に説明できません。高音が最初から出た人に「どうやって出すんですか」と聞いても、たぶん「こう、グッと」で終わります。私はこの手の説明に長く苦しめられたので、よく分かります。
一方、自分が詰まった経験のある人は、詰まりどころの地図を持っています。どこで転ぶか知っている人のほうが、案内は上手いんです。
もう一つ大事なのが、傷つけずに指摘する方法を探し続けられるかです。これは正解のない部分で、私も毎回考えています。同じ指摘でも、言い方と順番で相手の受け取り方はまったく変わる。ここを面倒だと思わない人は、向いています。
未経験から始める場合の準備については、こちらにまとめています。
逆に、向いていない人の傾向
結論:向いていない人の特徴は7つもありません。1つだけです。自分の話をしたい人です。
自分の実績、自分の理論、自分の成功体験。それを話している時間がいちばん楽しい、という人は、たぶん講師業より演者のほうが合っています。どちらが偉いという話ではまったくなく、向きの問題です。
厄介なのは、これが悪気なく起きることなんですよね。良かれと思って知識を渡しているうちに、気づけばレッスンの9割が自分の話になっている。 私も新人の頃はそうでしたし、講師を育てる立場になった今でも、いちばんよく見る課題です。
ただ、これも直せます。「今日のレッスン、自分は何分しゃべったか」を毎回メモするだけでかなり変わります。向いていないのではなく、気づいていないだけであることがほとんどです。
年齢や経歴が気になる方は、こちらも参考になると思います。
🤔 よくある誤解Q&A
Q. 歌が上手くないとボイストレーナーには向いていない?
A. 違います。歌唱力と指導力は別の力です。むしろ自分がつまずいた経験のある人のほうが、詰まりどころを説明できます。
Q. 人見知りだと向いていない?
A. 関係ありません。大事なのは社交性ではなく、目の前の1人に関心を向けられるかどうかです。
Q. 生徒が上達しないのは、講師の力不足?
A. そうとは限りません。練習量や聞く姿勢など生徒側の要因も普通にあります。全部を自分の責任にすると、先に講師が折れます。
Q. 生徒が乗ってこない日は、こちらが盛り上げるべき?
A. 逆です。テンションを下げて相手のペースに合わせるほうが、結果的に届きます。
Q. 向いている人は生まれつき決まっている?
A. 決まっていません。7つの特徴はどれも姿勢の問題で、今日から意識して変えられるものです。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. ボイストレーナーに向いている人の一番の特徴は何ですか?
A. 「自分が上手くしてやろう」と思っていないことです。指導の目的は生徒を上手くすることではなく、本人が気づく機会と練習の場をつくることだからです。
Q2. 歌が特別上手くなくても目指せますか?
A. 目指せます。歌唱力と指導力は別の力で、自分が苦労せずできてしまった人ほど説明が難しくなります。つまずいた経験は指導の資産になります。
Q3. 向いていない人にはどんな傾向がありますか?
A. 自分の話をしている時間がいちばん楽しい、という傾向です。悪気なく起きることが多いので、レッスンで自分が何分しゃべったかを記録するだけでも改善します。
Q4. 極度の人見知りでもボイストレーナーになれますか?
A. なれます。必要なのは社交性ではなく、目の前の1人に関心を向ける姿勢です。初対面では経歴より好き嫌いを聞くほうが距離が縮まります。
Q5. 生徒が上達しないとき、講師はどう考えればいいですか?
A. 自分の伝え方を見直すのは大切ですが、結果のすべてを背負う必要はありません。練習量や聞く姿勢といった生徒側の要因もあり、そこは本人の領域です。
Q6. 特徴に当てはまらない場合、諦めたほうがいいですか?
A. 諦める必要はありません。7つの特徴はどれも才能ではなく姿勢なので、意識して身につけられます。
✏️ まとめ:主役が自分でなくても平気な人が、向いています
ボイストレーナーに向いている人の特徴7つを挙げてきましたが、歌唱力の話は1つもありませんでした。
共通していたのは、相手が主役でいられることです。上手くしてやろうと気負わず、責任を抱え込みすぎず、相手のペースに合わせ、言えない本音を拾い、好みでないものにも興味を持ち、同じことを何度でも角度を変えて差し出す。
それは才能ではなく、姿勢です。今日から始められるものばかりですし、逆に言えば、今の時点で当てはまらなくても何も終わっていません。
ウタ子「私、人の話を聞くのは好きかもしれないです」
MASAYAH「じゃあ、けっこう向いてますよ」
全体像から確認したい方は、まずこちらからどうぞ。
これまで15年・約3,000人を教えてきたMASAYAHのラニーボーカルスクール東京が認定する、ラニーシンガーズアカデミー(LSA)では、発声理論から指導の言語化までをオンラインで学べます。自分が向いているかどうかも含めて、無料の個別相談で一緒に整理できます。
今日もどこかで、あなたの歌がちょっと良くなりますように。

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著者:MASAYAH
明治大学経営学部国際経営学科卒。ニューヨークとロサンゼルスでボイストレーニングを受けながら、日米のメジャーアーティストの制作に関わる。新宿にラニーボーカルスクール東京を創設しこれまで約3,000人をボイトレ指導。テレビやYouTubeなどメディアにも多数出演。


