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オンラインボイトレレッスンのやり方|Zoom設定から月謝回収まで

8月25日
読了時間: 10分

更新日:9月16日

白いレンガ壁の前で女性が電子ピアノを演奏し、右手で指示するように手を上げている。タブレット付きで穏やかな雰囲気。

結論:オンラインレッスンで最初に決めるのは、機材でもZoomの設定でもありません。誰に向けてやるかです。オンラインは「始めやすい場所」ではなく、最初から全国の相手と並ぶ場所だからです。


この記事でわかること

  • オンラインが「始めやすい」わけではない理由

  • 最初の生徒を検索から取りにいかないほうがいい理由

  • 画面越しでは指導の順番が変わるということ

  • 月謝は前払いで決めておくと揉めないこと

  • 機材の話はどこまで気にすればいいのか




ウタ子「オンラインって、場所も要らないし始めやすそうですよね」




MASAYAH「始めるのは簡単です。選ばれるのがいちばん難しいです」




ウタ子「あっ、逆なんですか」




MASAYAH「教室なら近所の何軒かと比べられます。オンラインは全国と比べられます」




オンラインは「始めやすい」のではなく、いちばん競争が激しい


結論:物理的な開業コストが低いことと、生徒に選ばれやすいことは別の話です。


対面の教室には、実はとても強い防御があります。距離です。生徒さんが通える範囲は限られているので、比較対象はその圏内の数軒だけ。立地と雰囲気と人柄で、十分に選ばれます。


オンラインにはこの防御がありません。検索した人の画面には、全国のスクールと、実績十分の講師と、大手が並びます。そこに開業したばかりの自分が同じ顔で並ぶわけです。部屋を借りずに始められるということは、誰でも同じ条件で入ってこられるということでもあるんですよね。


卒業生の開業相談でも、ここはいつも同じことをお伝えしています。いきなり全国区のオンライン展開から入るのは、いちばん不利な入り方です。まずは地域性を活かして、それからオンラインを足す。 この順番のほうが続きます。


現職を続けたまま小さく始める。大手スクールの業務委託を3〜6ヶ月経験して運営の型を学ぶ。あるいは低価格や無料で身近な人に教えて実績を作る。どのルートでも共通しているのは、最初から検索の海に出ないという点です。


最初の生徒は、検索から取りにいかない


結論:オンラインの最初の数人は、あなたをすでに知っている人から始めるのがいちばん確実です。


オンラインを始めた人がまずやりがちなのが、SNSアカウントを作って告知を流すことです。もちろん無駄ではありません。ただ、フォロワーがいない状態の告知は、ほぼ誰にも届いていません。


先に効くのは、すでにあなたを知っている人です。同僚、友人、バンド仲間、SNSで前からやりとりのある人。この人たちは、あなたの実績ではなくあなた自身を見て申し込んでくれます。これがオンラインでいちばん強い入口です。


ここでもう1つ効くのが、地域性を残しておくことです。「オンライン専門」と名乗るより、「◯◯市のボイストレーナーで、オンラインもやっています」のほうが、圧倒的に引っかかります。全国と戦わずに済む場所を、自分から捨てないでください。




ウタ子「知り合いに教えるの、なんか恥ずかしいんですよね」




MASAYAH「分かります。僕も最初は友達に頭を下げて回りました」




ウタ子「先生でもそうなんですね」




MASAYAH「そこを通らずに始まった教室、僕は見たことないです」




画面越しでは、指導の順番が変わります


結論:オンラインで伝わらなくなるのは音質ではなく、「やってみせる」の順番です。


対面のレッスンでは、生徒さんの隣でお手本を出し、一緒に声を出し、そのあとで説明する、という順番が自然に取れます。やってみせる → 一緒にやる → 説明する。 この順番が指導の基本形です。


オンラインだと、ここが崩れやすいんです。通信の遅れがあるので、声を重ねて一緒に歌うことが物理的にできません。そうすると説明から入りたくなる。そして説明から入ったレッスンは、生徒さんにとって「動画で見たのと同じ話」になってしまいます。


なので順番を組み替えます。やってみせる → 生徒さんが1人でやる → その場で返す。 「一緒にやる」を「交互にやる」に置き換えるイメージです。ここさえ守れば、オンラインでも指導の形は崩れません。


伴奏についても1つ。僕は楽譜が読めませんし、コードも分かりません。ピアノを弾きながら音を取るということが、そもそもできないんです。ではどうしているかというと、YouTubeにある発声練習用のスケール音源を使っています。 これで15年、約3,000人を教えてきました。オンラインで「ピアノが弾けないから無理だ」と止まっている方がいたら、そこは本当に障害になりません。


Zoomでのつまずきは、だいたい同じ2つ


結論:オンラインレッスンの事故の多くは、機材の性能ではなく使い方で起きます。


①講師も生徒もイヤホンをする


スピーカーで音を出していると、相手の声が自分のマイクに回り込んで反響します。生徒さんの声が正確に聞き取れなくなるので、レッスンとして成立しません。イヤホンは講師側より、むしろ生徒さん側にこそ必要です。初回の案内文に必ず書いておいてください。


②マイクに向かって歌わせない


画面が目の前にあるせいで、生徒さんはマイクに向かって声を出そうとします。これは癖として最悪で、マイクがある時とない時で歌い方が変わってしまいます。マイクがあってもなくても、同じ歌い方が正解です。ここは初回にはっきり伝えておくといいです。


機材そのものについては、この記事では深追いしません。何を買うかで迷い始めると、いつまでも始められないので。予算別の考え方は、機材専門の記事にまとめてあります。



月謝は「前払い」で決めておく


結論:オンラインは物理的な接点がないぶん、お金のルールを先に決めておかないと必ず曖昧になります。


ラニーボーカルスクール東京では、月謝は前払いを原則にしています。今月いただいた分が、翌月のレッスン代にあたるという考え方です。地味な話ですが、これを最初に決めておくかどうかで、あとの運営がまったく変わります。


オンラインには「来なくなったら、それで終わり」という弱さがあります。教室なら顔を見る機会がありますが、画面越しでは連絡が途切れたらそこまで。先にいただいているか、後からいただくかで、この局面の重さが変わります。


金額の設計は、対面と同じ考え方で大丈夫です。卒業生と一緒に組んだ一例を出すと、月謝10,000円(5,000円のレッスンを月2回)の生徒さんを10人で、稼働が週4〜5時間。スタジオ代を引いた粗利が月およそ60,000円という形です。あくまで一例ですし、個人差もあります。


オンラインの場合はここからスタジオ代が消えるので、そのぶんが丸ごと残ります。逆に言えば、貸しスタジオで対面もやるなら、スタジオ代を引いてもマイナスにならない設計になっているかだけは先に確認してください。 ここを詰めずに始めると、教えるほど赤字という妙なことが起きます。




ウタ子「前払いって、言い出しにくくないですか」




MASAYAH「最初に決めておけば、言い出す場面が来ないんですよ」




ウタ子「あ、途中から変えるのが大変ってことか」




MASAYAH「そうです。1人目の前に決めておいてください」




🤔 よくある誤解Q&A


Q. オンラインは場所代がかからないぶん、対面より始めやすいのでは。


A. 始めるコストは確かに低いです。ただし比較される相手が全国に広がるので、選ばれる難易度は上がります。コストの低さと集客のしやすさは別の話として考えてください。


Q. オンラインでは音質が悪くて、まともに指導できないのでは。


A. 音質より先に効くのはイヤホンの有無です。反響さえ止まれば、声の状態はかなり正確に聞き取れます。高価な機材は後からで間に合います。


Q. ピアノが弾けないとオンラインレッスンは無理ですか。


A. 必要ありません。発声練習用のスケール音源を使えば進められます。私自身、楽譜もコードも読めないままこれまで15年教えてきました。


Q. オンラインなら全国から生徒さんを集められるのでは。


A. 理屈の上ではそうですが、実際に最初の数人が来るのは身近なつながりからです。地域性を残しておくほうが、結果的に見つけてもらいやすくなります。


❓ よくある質問(FAQ)


Q1. オンラインボイトレレッスンは何から始めればいいですか?


A. 機材ではなく「誰に向けてやるか」から決めてください。オンラインは全国の講師と同じ画面に並ぶ場所なので、最初は身近な人や地域を軸にしたほうが確実です。そのあとに機材とZoomの設定を整えます。


Q2. Zoomでレッスンをするとき、最低限そろえるものは何ですか?


A. 講師と生徒の双方がイヤホンを使うことが最優先です。スピーカーだと音が回り込んで反響し、生徒さんの声が正確に聞き取れません。マイクやオーディオ機器は、続けられる見通しが立ってからで間に合います。


Q3. オンラインだと一緒に歌えませんが、どう指導すればいいですか?


A. 「やってみせる → 一緒にやる → 説明する」という対面の順番を、「やってみせる → 生徒さんが1人でやる → その場で返す」に組み替えます。通信の遅れで重ねて歌うことはできないので、交互にする形にします。


Q4. ピアノが弾けなくてもオンラインレッスンはできますか?


A. できます。YouTubeなどにある発声練習用のスケール音源を使えば、音取りは問題なく進められます。楽譜やコードが読めないことは、指導の障害にはなりません。


Q5. 月謝はどうやって回収するのがいいですか?


A. 方法そのものより、前払いか後払いかを先に決めておくことが大事です。ラニーボーカルスクール東京では前払いを原則にしています。オンラインは連絡が途切れたときの回収が難しいため、先にいただく形のほうが運営が安定します。


Q6. オンラインだけで収入は成り立ちますか?


A. 成り立ちますが、最初からオンラインだけで始めるのは不利です。一例として、月謝10,000円の生徒さん10人で週4〜5時間の稼働という規模があります。まずは身近な範囲で実績を作り、そこからオンラインの比率を上げていく順番が現実的です。


✏️ まとめ:オンラインは「対面の代わり」ではなく、別の競技


オンラインレッスンは、対面の劣化版ではありません。ただ、対面より簡単な選択肢でもありません。距離という防御を手放して、全国と同じ土俵に上がるという選択です。


だからこそ、最初の入り方が全部を決めます。身近な人から始める。地域性を捨てない。前払いのルールを1人目の前に決めておく。この3つさえ押さえておけば、あとは指導の中身で勝負できます。


そして指導の中身については、機材でもピアノでもなく、やってみせられるかどうかがすべてです。そこは画面越しでも変わりません。




ウタ子「結局、いちばん大事なのは全国と戦わないことなんですね」




MASAYAH「そうです。戦わなくていい場所から始めてください」




開業の全体像から確認したい方は、こちらもどうぞ。



これまで15年・約3,000人を教えてきたMASAYAHのラニーボーカルスクール東京が認定する、ラニーシンガーズアカデミー(LSA)では、発声理論から指導の言語化までをオンラインで学べます。オンラインで教える形が自分に合うかどうかも含めて、無料の個別相談で一緒に整理できます。



今日もどこかで、あなたの歌がちょっと良くなりますように。


歌で世界を一つに MASAYAH(手書き署名)

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著者:MASAYAH


明治大学経営学部国際経営学科卒。ニューヨークとロサンゼルスでボイストレーニングを受けながら、日米のメジャーアーティストの制作に関わる。新宿にラニーボーカルスクール東京を創設しこれまで約3,000人をボイトレ指導。テレビやYouTubeなどメディアにも多数出演。

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