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音痴は大人からでも治る?音程が合わない3タイプ別の矯正法

8月27日
読了時間: 11分

更新日:9月8日

青緑の壁の室内で、女性2人が歌の練習。左の女性は電子ピアノに座り指示し、右の女性はマイク前で歌っている。

結論:音痴は生まれつきの才能の問題ではありません。大人からでも十分に変わります。そして多くの人が実際に詰まっているのは「音感」ではなく、音を覚えていられる時間の短さのほうだ、というのが私の見立てです。


この記事でわかること

  • 「音痴」と呼ばれる状態が起きる3つのタイプと、その見分け方

  • 音感より先に疑ってほしい「音の記憶力」という切り口

  • タイプ別の矯正法

  • 今日からできる「出してから、答え合わせ」の練習

  • 練習してもすぐに変わらないときの考え方




ウタ子「私、昔から音痴って言われてきたんです。もう手遅れですよね」




MASAYAH「手遅れじゃないです。というか、その前に聞かせてください。音を聞き分けられていない自覚、ありますか」




ウタ子「いや……高いか低いかは分かる気がします。ただ声にすると外れる」




MASAYAH「それ、音感の問題じゃないやつです。だいぶ違う話になります」




ウタ子「え、音痴って音感の話じゃないんですか」




MASAYAH「そこがいちばんの誤解なんですよ。順番に話します」




音程が合わない人は、大きく3タイプに分かれます


結論:音痴と呼ばれる状態は、「音を聞き分けられていない」「聞こえてはいるが声に出せない」「テンポとズレている」という、原因のまったく違う3つのタイプに分かれます。


タイプ

何が起きているか

本人の自覚

感受性型

音の高さの違いそのものを聞き分けにくい

「全部同じに聞こえる」

運動性型

音は分かっているのに、その音を声で再現できない

「合ってないのは分かる」

リズムズレ型

音程は合っているが、入るタイミングが微妙にズレる

「なぜか下手に聞こえる」


これまで15年・約3,000人を教えてきた体感でいうと、いちばん多いのは真ん中の運動性型です。「音痴です」と言って来られる方の大半は、実は音がちゃんと聞こえています。聞こえているのに声が言うことを聞かない。それを本人が「耳が悪い」と誤解している、という構図が本当に多い。


そしてここを取り違えたまま練習すると、効きません。耳のトレーニングをいくらやっても、問題が喉と耳の連携にあるなら変わらないからです。まず自分がどのタイプかを決める。矯正はそこからです。


音感より先に、「音の記憶力」を疑ってください


結論:絶対音感は必須ではありません。むしろ実際に効いているのは、聞いた音をどれだけの時間覚えていられるかという「音の記憶力」のほうだと考えています。


まず安心してほしいのですが、世の中のプロシンガーの大半も絶対音感は持っていません。「絶対音感がないから音痴」という思い込みは、まずここで捨ててください。


そのうえで、私が現場でずっと感じてきたことがあります。曲を聞いて「なんとなくこの高さだ」と分かって、だいたい再現できる人っていますよね。あれ、才能というより一種の音の記憶力なんじゃないかと思っているんです。頭の中に音がしばらく残っている。だから基準がぶれない。


逆に、聞いた音がすぐ消えてしまう人は、基準音を失った状態で「さっきより高いか低いか」だけを頼りに歌うことになります。相対音感頼みです。すると1音ずつはそれっぽくても、フレーズが進むほどじわじわ全体がずれていく。音感の良し悪しではなく、音の保持時間の問題として見ると、辻褄が合う場面がとても多い。


ここは正直に書いておきますが、これは私が指導の現場で立てている仮説であって、学術的に実証された話ではありません。ただ、この見方に切り替えると打つ手が変わります。「耳が悪いから無理」ではなく「覚えていられる時間を伸ばす」という、練習できる形になるからです。




ウタ子「音感じゃなくて記憶力。ちょっと希望が出てきました」




MASAYAH「才能の話が練習の話になるので、そこがいいところなんです」




ウタ子「MASAYAHさんは音、覚えていられるほうですか」




MASAYAH「今は。昔は全然でした。それはあとで白状します」




タイプ別の矯正法


結論:運動性型は「耳と声をつなぐ練習」、感受性型は「音を距離としてイメージする練習」、リズムズレ型は「言葉ではなくリズムで歌詞を捉え直す練習」が有効です。


やること

  • 運動性型:半音ずつ上下する音を、聞いてすぐ声に出す。合っているかどうかは気にせず、まず「聞く→出す」の反応速度を上げるところから始めます。ここは筋トレに近い部分です

  • 感受性型:次の音が「どれくらい」高いのか低いのかを、距離としてイメージしてから出す。音を点として当てにいくのではなく、階段の段差の大きさを感じる練習です

  • リズムズレ型:歌詞を漢字で読むのをやめます。ひらがな、さらにはアルファベットに起こして、音の長さだけで捉え直す


3つ目だけ少し補足させてください。歌はリズムを歌うのであって、言葉を歌うのではありません。歌詞を漢字のまま読むと、どうしても意味の切れ目で歌ってしまう。そこで「この良き日」を「たったーらー」と置き換えて歌ってもらうと、歌詞は1文字も変えていないのにノリだけが別人になる、ということが実際に起きます。歌がうまい人は、これを無意識にやっています。


今日からできる練習は「出してから、答え合わせ」


結論:音を聞いてから合わせにいくのではなく、先に自分で出してから、楽器やアプリで答え合わせをする。この順番にするだけで、自己検証の力が育ちます。


多くの人がやっているのは「お手本を聞く→真似する」です。悪くはないのですが、これだと合っているかどうかの判定を、いつまでも外側に預けたままになります。


だから私は逆をやってもらいます。まず自分で「ド」を出す。それから鍵盤やチューナーで答えを見る。ずれていたら、どっちにどれくらいずれていたかを自分で言葉にする。この「自分で出す→自分で照合する」を繰り返すと、耳が良くなるというより、自分の声を客観的に聞く回路ができます。音程が合わない人の根っこは、たいてい音感ではなく、この客観視の不足です。


もう一つ、環境の話を。ある生徒さんに、いつものYouTubeのカラオケ音源ではなく、その場でギターを弾いて歌ってもらったことがあります。そうしたら本人が、初めて自分の音程のずれに気づいたんです。音源が分厚いと、自分の声はその中に埋もれて聞こえません。ピアノ1台、ギター1本、あるいは伴奏なし。薄い伴奏で歌うと、隠れていたものが急に見えます。


やること

  • 1フレーズだけ録音する。1曲通しは絶対にやらないでください。どこで外れたか分からなくなります

  • 薄い伴奏、またはアカペラで録る。原曲カラオケは自分の粗を隠してくれます

  • 聞き返して、外れた箇所を「どっちに」外れたか言葉にする。高かったのか低かったのか、それだけで十分です


喉の締まりや高音の細さが混ざっている場合は、音程だけを練習しても解決しません。そちらはこちらが詳しいです。




音程バーに合わせるのが目的になっていませんか


結論:カラオケの音程バーやガイドメロディーに正確に合わせることを目的にすると、それは歌ではなく音ゲーになります。ピッチは最後の微調整でかまいません。


これは音痴を気にしている方ほど陥りやすい罠です。採点の点数を上げにいくと、たしかにバーには乗ります。でも、バーに乗せることに全神経を使った歌は、聞いていて驚くほどつまらない。優先順位は、息の強弱で表現を作ることが先で、ピッチは最後です。


順番を逆にしないでください。「まず正確に、それから表現」と思いたくなりますが、実際には正確さを固めてから雰囲気を足そうとしても、なかなか抜け切れません。ざっくり気持ちよく歌えている状態を先に作って、そこにピッチを寄せていくほうが早い。私はそう考えています。


変わらない時期は必ず来ます


結論:音程の感覚が変わるまでの時間は人によって差が大きく、途中で「何も変わっていない」と感じる時期が必ずあります。それは才能の限界ではありません。


ここは真面目に書かせてください。


私は小学生のとき、学芸会の主役オーディションで、体育館いっぱいの全校生徒の前で歌いました。極度のあがり症で、音程はめちゃくちゃ。それでも途中でやめられず、最後まで押し切りました。終わったあと、笑われました。馬鹿にされました。あれは今でもはっきり覚えています。


だから「音痴と言われて傷ついた」という話を、私は軽く扱えません。あの経験がなければ、たぶん今この仕事をしていないとも思います。


そして伝えたいのはここからです。あのときの私と今の私で、耳の構造は何も変わっていません。変わったのは、自分の声を聞き返した回数と、外れたときに「どっちに外れたか」を言葉にしてきた回数だけです。


変わらない時期は、変わっていないのではなく、まだ耳と声が握手していないだけです。焦って大きな声で押し切ろうとすると、喉が力んで逆効果になります。むしろ、いつもより小さい声で正確に出せるかを試してみてください。




ウタ子「体育館の話、聞いてるだけでこっちが胃が痛いです」




MASAYAH「思い出させないでください」




ウタ子「でも、それを話す先生に習うのは安心感がありますね」




MASAYAH「そう思ってもらえるなら、あの日も無駄じゃなかったです」




自分のタイプが分からないときは


結論:自己判断が難しい場合は、第三者に「音が外れているのか、テンポがズレているのか」だけ聞いてみてください。この2択が分かれば、練習の方向は決まります。


家族でも友人でもかまいません。上手い下手の評価はいりません。「外れてる? それとも遅れてる?」の2択だけ。ここが分かれば、感受性型・運動性型の側なのか、リズムズレ型なのかが切り分けられます。


自分の歌のクセをざっくり掴んでおきたい方は、こちらもどうぞ。



裏声側に別の悩みがある方は、こちらもあわせて読んでみてください。



大人になってからのボイトレ全体の進め方は、こちらにまとめてあります。



🤔 よくある誤解Q&A


Q. 音痴は生まれつきで一生治らない?


A. いいえ。多くは音の距離感と、聞いた音を保持する力の問題であり、大人からでも変えられます。


Q. 絶対音感がないと音程は合わない?


A. いいえ。プロシンガーの大半も絶対音感を持っていません。必要なのは絶対音感ではなく、自分の声を照合する習慣です。


Q. 音痴の人はみんな同じ原因?


A. いいえ。聞き分けにくいタイプ、声で再現しにくいタイプ、テンポがズレるタイプで打つ手がまったく違います。


Q. たくさん歌えば自然に治る?


A. 歌う量だけでは変わりにくいです。1フレーズを録音して聞き返す回数のほうが効きます。


Q. カラオケの採点が上がれば音痴は直った?


A. 採点は音程の一致度を測るもので、歌の良さとは別物です。バーに乗せることが目的化すると表現が痩せます。


❓ よくある質問(FAQ)


Q1. 音痴は大人になってからでも治りますか?


A. はい。音程が合わない原因の多くは生まれつきの能力ではなく、音の距離感をつかむ練習と自分の声を客観的に聞く習慣の不足です。大人からでも改善が期待できます。


Q2. 音痴にはどんなタイプがありますか?


A. 音の高さを聞き分けにくい「感受性型」、聞こえていても声で再現しにくい「運動性型」、音程は合っているがテンポがズレる「リズムズレ型」の3つに分けられます。


Q3. どのタイプが一番多いですか?


A. レッスンの現場では、音は聞き分けられているのに声で再現しにくい運動性型の相談が最も多い傾向にあります。


Q4. 絶対音感がなくても音程は合わせられますか?


A. できます。プロシンガーの大半も絶対音感を持っていません。むしろ聞いた音をどれだけ覚えていられるかという「音の記憶力」を鍛えるほうが実践的です。


Q5. 今日からできる練習はありますか?


A. 先に自分で音を出し、そのあと鍵盤やチューナーで答え合わせをする練習です。1フレーズだけを録音し、外れた方向を言葉にして確認します。


Q6. 練習してもすぐに変わらないのはなぜですか?


A. 耳と声が一致するまでの時間には個人差が大きく、変化を感じない時期は誰にでもあります。焦って大きな声で押し切ると喉が力むため、小さな声で正確に出す練習に切り替えてください。


Q7. カラオケの音源で練習してもいいですか?


A. 仕上げには使えますが、原曲カラオケは音が厚く自分の声の粗が隠れます。ピアノ1台やアカペラなど、薄い伴奏で練習するほうがずれに気づけます。


✏️ まとめ:音痴は「才能」ではなく「照合の回数」で変わります


音痴と呼ばれる状態は、原因の違う3つのタイプに分かれます。まず自分がどれかを切り分けること。そして多くの人にとっての本丸は音感ではなく、聞いた音を覚えていられる時間と、自分の声を照合する習慣です。


先に出して、後で答え合わせをする。1フレーズだけ、薄い伴奏で録る。外れた方向を言葉にする。地味ですが、これを繰り返した人から順に変わっていきます。


「音痴だから」と歌うことをあきらめた記憶があるなら、それはたぶん、あなたの耳の問題ではありませんでした。




ウタ子「才能の話だと思っていたものが、練習の話になりましたね」




MASAYAH「そうなんです。そして練習の話になった時点で、もう半分終わっています」




一人でやってみて「これ、合ってるのかな」となったら、無料体験レッスンで一度プロの耳を借りてみてください。自分がどのタイプなのかは、聞いてもらったほうが圧倒的に早いです。



今日もどこかで、あなたの歌がちょっと良くなりますように。

歌で世界を一つに MASAYAH(手書き署名)

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著者:MASAYAH


明治大学経営学部国際経営学科卒。ニューヨークとロサンゼルスでボイストレーニングを受けながら、日米のメジャーアーティストの制作に関わる。新宿にラニーボーカルスクール東京を創設しこれまで約3,000人をボイトレ指導。テレビやYouTubeなどメディアにも多数出演。

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